2021.12.15 お知らせ 【経済学部】企業戦略によって会社の運命は決まる!?(産業組織論)



経済学と聞くと、難しいイメージやあまり身近でないというイメージを持っている方はいませんか?
経済学部の藤田准教授による「産業組織論」の授業は企業の戦略的行動を分析することがテーマです。今回の授業で焦点を当てたのが、ライバル企業との関係の中で、自分の会社はどのような選択をすると良いのかを数理的に考える立地選択モデルです。

 

“立地選択モデル”とは?

例えば、河川敷で開催される花火大会で、あなたがたこ焼き屋を出店する場合、ライバル店との位置関係は気になるところですよね。「ライバル店と離れた場所にお店を配置するのがよいか?」、「互いの店が利益を最大にするように出店場所を選ぶとき、結果的にどのような状態に落ち着くのか?」そんな身近なテーマを題材に授業は展開。受講した学生は、配布された資料を見ながら興味津々な様子で講義を受けていました。理論について一定理解した学生たちは、その後、それぞれモデルの具体例を考え、さらに理解を深めていました。


 

大手コンビニ3社のロゴマークの色の秘密をご存じですか?





 こうした立地選択モデルは、「場所」を選択する状況にとどまらず、自社の製品等にどのような特徴を持たせるのか、という企業の戦略にも応用することができます。
たとえばローソン・ファミリーマート・セブンイレブンのロゴマーク。ローソンは青、ファミリーマートは緑、セブンイレブンはオレンジを基調としていますよね。円状のカラーチャートを使ってこの3社のイメージカラーがどの位置にあるのかを見ると、それぞれ色が離れた位置にあることがわかります。つまり、この3社はそれぞれ他社とできるだけ異なる色を選択していることになります。実は、これは企業の戦略的・合理的な行動の結果であると考えられます。このような現象を説明するときに、上述の立地選択モデルが大きく関係しており、図のように円上の点を選択するような状況では、できるだけ競争相手から離れた場所に位置することが望ましいということが、数理モデルによる分析の結果として示されます。この結果を簡単に言えば、皆さんがロゴマークを見ると、どのコンビも一目でわかるようになっている(工夫されている)ということです。ほかにも、三大メガバンクである三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行のロゴマークにも同じことが言えます。
 
今まで気づかなかったことも、経済学的観点から見ると新たな発見や企業努力を垣間見ることができます。“経済学”しかも、“立地選択モデル”。名前だけ聞くと難しそうなイメージに聞こえますが、内容を知ると、実は、私たちの生活の身近なところで関係していることがわかります。
私たちも知らず知らずのうちに企業の戦略にはまっているのかもしれませんね。